格差社会から抜けられない方へ|パラサイト 半地下の家族

処方

パラサイト 半地下の家族(2019年、韓国)

効能・注意

・笑いと恐怖の両方に襲われます。

・弱いものが弱いものをたたく現実にぞっとします。

・ドライブ・マイ・カーより大衆的なので誰でも楽しめます。

こんな話

 キム一家は家族4人全員が失業中で、半地下の住居でその日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男が高台にあるIT企業のCEOの豪邸に家庭教師として侵入する。妹も、兄に続いて美術指導で豪邸に足を踏み入れる。母も父も豪邸に入り込む。正反対の二つの家族の出会いが、悲喜劇へと猛スピードで加速していく。世界に共通する格差問題を描き、国際映画賞を総なめにした韓国映画。

半地下とは

 日の光が弱い。窓を開ければ路上で散布される消毒剤が入ってくる。半地下はもともと、北朝鮮の攻撃に備えた防空壕でしたが、そのうち住居用に賃貸されるようになりました。家賃は安いけれど、一日中薄暗く、風通しも悪い。ゴキブリも多い。水圧の関係で、トイレの便器は床より1・5メートルほどの高さにある。主人公の一家はここで宅配ピザの箱を組み立てるなどの仕事をして、日銭を稼いでいます。韓国政府の調査によると、国民の1・9%が半地下に住んでいるとか。100人いれば、1人か2人。結構な割合ですよね。

格差の中の格差

 日本でも「万引き家族」がヒットしたように、世界で格差を題材にした映画が作られています。それだけ共通するテーマなのでしょう。作中では高台の豪邸と半地下、二つの環境が格差の象徴として登場します。そして、もう一つ貧困の中にも格差があります。上には上がいるように、下には下がいる。貧困層同士が力を合わせて富裕層に立ち向かうーとはならないのが現実で、貧困層同士の足の引っ張り合いがとてもリアルでゾッとします。

 ちなみに公開当時、あれだけ話題になったのに地元の映画館で上映されておらず、遠方まで見に行った記憶があります。ここにも地方と都市の格差が…

エンタメ性も高い

 同じく国際映画賞で評価された日本の映画「ドライブ・マイ・カー」は、見る人を選ぶ映画でした。誰もが面白いと思えるものではないし、親切な説明もない(説明がないところが面白いのですが)。

 パラサイトはエンターテイメントとして、笑って、ハラハラして、物語がすっと入ってきます。韓国映画を見たことのない人も抵抗なく見られるはずです。その上で、芸術性も高い。格差の対比も見事です。一つの仕掛けが画面だけでは分からない臭い。富裕層と半地下の家族では臭いが違います。半地下はどんだけ装いを飾ってみてもかび臭ささがしみついているのです。その臭いが物語で大きな役割を果たします。

 面白い映画の匂いが漂ってきませんか?

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