青春を知らない方へ2|昭和前期の青春

処方

昭和前期の青春(山田風太郎)

効能・注意

・どんな時代にも青春はあります。

・10代は何を読んでも栄養になります。

・奇想天外な発想の原点に触れられます。

こんな内容

 戦前・戦中に青春を過ごした山田風太郎。自身の生い立ちと時代背景にある戦争に関する文章を集めたエッセイ集。戦争を語りながら深刻ぶらず、飄々とした筆致で山田風太郎の原点を紹介している。

古き良き時代

 古き良き時代とは、青春の頃、平和で経済的にも安定した社会で、後に懐旧の念をもって振り返ることのできる時代を指していますが、山田氏の年代にはそれないといいます。戦禍と飢餓、さらに山田氏は両親も亡くしています。それでも、エッセイは恨みつらみを並べているわけではなく、思わず吹き出してしまうようなエピソードも多く含まれています。

 僕は戦後30年たってから生まれ、社会もそれなりに安定していましたが、古き良き時代とはなりませんでした。社会の問題でなく、個人の問題でしたが、周りが青春を謳歌している分、格差を感じてしんどかったです。それも糧にはなっていますけどね。

秘密小屋

 お気に入りのエピソードは中学生の頃、寄宿舎の天井裏に作った秘密の小屋。食堂の腰掛イスをいくつか壊して、その板を梁と梁の間に並べて床を作ったり、電線を引いてきて電燈まで付けたり。物置にあった直径50センチ以上の鉄火鉢を持ち込んだり。みんなが登校して寄宿舎が空になっている時間帯に、仮病を使って学校を代わる代わる休んで作業する様子など、秘密基地づくりのようでワクワクさせられます。これが寄宿舎の最後までばれなかったのもすごいですね。

どんな本を読んでいたのか

 奇想天外な作風で知られる山田氏が、少年時代にどんな本を読んでいたのか。たびたび出てくるのが「少年倶楽部」です。吉川英治や大佛次郎ら一流大衆作家の少年向け長編をそろえ、人気だった月刊誌のようです。

 15歳までと以降では読書の対象がまったく違ってくるとも指摘しています。15歳以後は大人が読むものと変わらない。ただ、10代のころの乱読と40代の乱読は違うとも。10代のころは好むと好まないとにかかわらず、ただ夢中で乱読していたといいます。退屈な古典的小説も、恐ろしく退屈だったけれど、一種の快感を持って読むことができたと。退屈な古典は10代のころに読むべきだと勧めています。

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