イヤミスを体験したい方へ|暗色コメディ

処方

暗色コメディ(連城三紀彦)

効能・注意

・イヤミスの沼にはまるかもしれません。

・本格ミステリーが堪能できます。

・就寝前に読むと寝つきが悪くなる恐れがあります。

こんな話

 デパートで夫と逢引しているもう一人の自分を目撃した人妻。自殺しようと飛び込んだトラックが消えてしまった画家。1週間前に自分が交通事故死したことを妻から知らされた葬儀屋。妻が別人にすり替わっていることに気づいた外科医…。別々の場所で起こった四つの事件が絡み合い、一つに結ばれていく。本格ミステリー。

嫌なのに読みたいイヤミス

 

 僕の読書歴はミステリーが原点です。小学3年生の時に江戸川乱歩の少年探偵団、シャーロックホームズ、ルパンなど学校の図書室にある本は片っ端から読破しました。ミステリーのだいご味は、登場人物とともに謎解きするスリル、最後の大どんでん返し。騙されてうれしいのは、ミステリーを読んだときぐらいです。

 ところが、イヤミスという言葉を知りました。読後、イヤな気持ちになるミステリーを指すようです。僕も持っている湊かなえの「告白」とか沼田まほかるの「ユリゴコロ」なんかが代表のようで、なるほどと納得。だとすれば、この作品はイヤミスのはしり的な作品かもしれません。名探偵も出てこないし、読後にスカッとはしません。でも、ぞくぞくする心理描写が病みつきになります。

展開が見えない

 イヤミスが成立するのは、ミステリーとして面白いから。設定を見るだけでも、ぞくぞくしませんか?精神科病院が舞台で、どこまでが妄想で、どこまでが現実か。そもそも、最後に向けて四つの事件がどうつながっていくのか。終盤まで展開が読めません。現実では起こりそうもない設定ですが、信じたいものを信じてしまう心理、何かを隠したい時に嘘を重ねる心理。日常で自身が取っている行動がさらされる感覚が、怖さ、不快感につながるのかもしれません。

幻影城

 

 幻影城という探偵小説専門の雑誌が1975年に創刊されました。奇しくも僕の生まれた年です。雑誌自体は短命で1979年には廃刊していますが、実は伝説的な雑誌なんです。作者の連城三紀彦はこの幻影城新人賞からデビューしているのですが、同じ新人賞から「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」で知られる田中芳樹、「グイン・サーガ」の栗本薫、泡坂妻夫らがデビューしていて、愛読者によるファンクラブには宮部みゆきが参加していたとか。リアルタイムで読んでいたら、きっとファンクラブに入っていただろうなと思うほど、僕好みのラインナップです。 

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