ALWAYS三丁目の夕日(日本、2005年)
こんな話
東京タワーが建設中の昭和33年。東京・夕日町三丁目にある町の自動車屋鈴木オートには、六子という若い女の子が就職してきたが、実はもっと立派な会社を想像していたようで騒動に。一方、その向かいで駄菓子屋を営む小説家の茶川は、淳之介という身寄りのない少年を預かることになる。人情味あふれる三丁目の人々を描いたエンターテイメント映画。
昭和感満載
昭和生まれです。時代は平成も終わり令和。かつて、明治、大正、昭和と生きたじいさん、ばあさんの域に達するのではと感じるこのごろ。ちびっ子からは「ねえ、戦争の時どうだった?」と無邪気な質問をされることも。いや、戦後もう30年も経ってから産まれたのですが…。
昭和は60年以上続いたので、一時代というには幅が広いです。ですが、多くの人の抱く懐かしの昭和とはちょうどこのくらいの時代ではないでしょうか。リアルな昭和の風景がコンピューターなどを駆使したVFXにより再現されています。
この頃に子ども時代を過ごした人は昔を美化し、現代を批判しますが、僕はそう思いません。それぞれの時代にいいところも、悪いところもあります。たしかに、未来に希望を持ちにくくなったというのはありますが。
2人の親父
鈴木オートの社長、則文は典型的な昭和の親父です。自分の仕事に対する誇りと情熱は誰にも負けません。その我の強さは家庭内のみならず、時に町内の人々にまで迷惑をかけるのですが、そこに昭和ならではの親父を感じます。今の時代なら排除されてしまいそうですよね。
一方、駄菓子屋を営む茶川は酔った勢いで淳之介を引き取り、心ならずも親父役を務めることになります。決して格好良くない茶川ですが、少年向け雑誌に連載している冒険小説の大ファンだった淳之介は尊敬の眼差しで茶川を見つめ、親子のような師弟のような、兄弟のような関係が始まります。淳之介を押し付けたヒロミは、様子を見に茶川家を訪れ、3人で時間を共有していくうち茶川の優しさに惹かれていきます。この家族感が好きです。茶川演じる吉岡秀隆さんははまり役です。
父親という存在
「父親とは仲がよくない」という人は結構います。何が原因かは分かりませんが、ある程度まで成長した子どもは母親とはそれなりに仲良くても、父親とはケンカばかりという人が一定数いるのです。まあ、僕からすればケンカできるならそこまで仲が悪いわけでもないと思うのですが。
一方で若い女性の中には、すごく父親と仲がいい人もいます。父親の立場からするとめちゃくちゃうらやましい。
僕自身は両親と一時はあまりいい関係ではなかったですが、今は普通です。ただ、話はほとんどしません。父については歳をとって、衰えを感じます。病院通いも増え、今ちょうど入院しています。この辺がもう一度関係が変わり始める時期なのかもしれません。