新学期が始まる。高校生活、青春ってこういうことか

マンガ・アニメ

スキップとローファー(高松美咲)

過疎地から東京の高偏差値高校に主席入学した美津未。本人も気づかぬうちにみんなをほぐす彼女は天然のインフルエンサー。

岩倉美津未、今日から東京の高校生!
入学を機に地方から上京した彼女は、勉強こそできるものの、過疎地育ちゆえに同世代コミュ経験がとぼしい。そのうえちょっと天然で、慣れない都会の高校はなかなかムズカシイ!
だけど、そんな「みつみちゃん」のまっすぐでまっしろな存在感が、本人も気づかないうちにクラスメイトたちをハッピーにしていくのです!

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特別なことは起こらないけど、なにか面白い。これは主人公の美津未の魅力か。こんな高校生活を送れていたら楽しかっただろうなと思いつつ、誰もが経験するような場面が次々登場する。今青春を送っている人も、すでに遠い過去になった人も。スクールライフを楽しんで。

お薦め度 

ポイント

・ヒロインは美少女ではない

・キャラクターは隣のあの子

・共感の嵐

ヒロインは美少女ではない

 こう言ってしまうのは失礼かもしれないが、ヒロインは美少女ではない。少年マンガならほぼあり得ない設定。悪口ではなくほめている。美少女のキラキラした話でも、どんどんきれいになっていくサクセスストーリーでもない。ヒロインの美津未の魅力がストーリーを支える。石川県の田舎では神童、勉強はできるけど距離感はちょっとずれている。ここまででなくても、距離感がとれないことは普通にある。誰もが感じる戸惑いを、美津未を通じ客観的に見たり、これでいいんだと安心したり。美津未はマンガのヒロインであり、自分自身でもある。それがこの作品が支持される理由ではないか。

キャラクターは隣のあの子

 美津未のクラスメイトは個性的。いや、キャラクターの個性ははっきり分かれているけど、誰も突き抜けてはいない。典型的なパターンに収まっている。これは批判ではない。このバランス感覚が絶妙なのである。ミカはおしゃれに敏感で、いわゆる女子力が高いタイプ。そして計算高い。でも、決して性格は悪くない。一番クラスにいそうなタイプ。美津未と接することで、生き方が柔らかくなる。恐らく女子受けのいい人気キャラクターだろう。久留米誠は人見知りで考えすぎてしまうタイプ。これもまた、クラスに必ずいる。読書好きにはこんな人が多い。友達づくりが苦手だったが、やがて人間関係が広がっていく。すぐ隣にいる同級生が凝縮されている。キャラクターの中でも、超然としてつかみどころがない、マンガ的な志摩君でさえ、自分の中に悩みを抱え、それは決して他人ごとではない。このキャラクターたちに出会うだけでも、見る価値がある。

共感の嵐

 隣のクラスメイトや自分自身を反映したキャラクターが、人間関係や恋愛に迷ったり、お泊り会を楽しんだり、クラス一丸で文化祭に臨んだり。こんな高校生活あったという人も、こんな生活に憧れたという人も共感する部分が多いはず。特に躓いたり、衝突しそうになったりする描写は物語がすっかり自分ごとになる。逆に共感しすぎて辛い人もいるかもしれない。1年時の文化祭のエピソードは1年の集大成。実は演劇に関わりたくないのに、周囲に押され出演することになった志摩君、クラスのみんなを手伝いたいけど生徒会の活動に忙しい美津未。この2人の距離がグッと近づく。文化祭ってこんなに盛り上がるんだ。学校行事に入れ込んだことのない僕にはまぶしすぎるが。

編集後記

 ほのぼの系のストーリーではあるが、安易にハートフルなわけでもない。ドキドキ、ハラハラしているわけではないのに、物語に引き込まれる。こんな楽しい高校生活は送っていないけれど、追体験させてもらっている気になる。こんな学校だったらもう一度行ってみたいかも。

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