コロナ禍に共感を求めている方へ|あなたのブツが、ここに

処方

あなたのブツが、ここに(2022年、日本ドラマ)

効能・注意

・コロナ禍のリアル

・コロナ禍に覚悟

・短いドラマ

こんな話

 2020年10月、コロナ禍でどこか投げやりだったシングルマザー(二村紗和)が、キャバ嬢から宅配ドライバーに転身し、様々な困難に立ち向かいながら、前を向いて自分の人生を肯定できるようになっていく姿を描くヒューマンドラマ。NHKの「夜ドラ」枠で放送中。

コロナ禍のリアル

 シングルマザー、夜の仕事、失業、巣篭り、いじめ・差別、多忙な宅配…。コロナ禍のリアルを描いたドラマ。キーワードだけ並べるとステレオタイプな話かと思われそうですが、あるある感がじんわりと、時にぐさりと刺さる秀作です。

 主人公はキャバクラの仕事がなくなり、給付金詐欺にもあって、生活が立ち行かなくなり、実家に戻ります。それに伴い小学生の娘も転校します。夜の仕事がなくなることもそうですが、「それはないだろう」と思うような給付金詐欺にひかかる心理、娘が母親がキャバ嬢ということで「コロナがうつる」といじめに遭うシーンなど、コロナ1年目に周りで起こっていたことがそのまま再現されていようなリアルな質感があります。

 主人公は最初、宅配の仕事をどこか軽く見ていましたが、なぜコロナ禍に荷物が増えるのか、その一つ一つにどんな思いがこもっているのか、荷物を待つ人々が抱えるそれぞれの事情とは。次第にそうしたものを感じ成長していきます。まだ放送は続いているので、今からでもぜひ視聴を。

コロナ禍の覚悟

 そのうち終わるだろうと願望を込めて覚悟を決められないでいた主人公に対し、周囲の登場人物はコロナ禍に生きる覚悟を決めています。お好み焼き屋さんをしている母親も、店を開けても赤字だけれど、閉めてしまうともう立ち上がれなくなる。これでやっていけたら、今後もやっていけると、店を開き続けます。

 あなたはコロナ禍に対応しているでしょうか?都市部ではテレワークが広まりましたが、感染者は以前より増えているのに、出社を求める会社が増えています。うちも一瞬だけテレワーク推奨の兆しが見えましたが、すぐにしぼみました。何なら用がなくても会社に顔出すのが仕事だという方針でがっくりです。

 以前は感染した人は「絶対に知られてはいけない。ここで暮らせなくなる」という悲壮の覚悟でした。実際、僕の住む田舎では誹謗中傷が飛び交っていました。ところが、最近は「コロナで休んでました」と堂々と宣言し、「今日は天気いいね」ぐらいの感覚で「後遺症出てない?」とあいさつを交わす人もいるなどコロナへのイメージは大きく変わっています。後輩の話によると小学校の自由研究で「コロナに感染した」をテーマにしたものもあったとか。

 2020年を未来の人、数年後の私たちはどう振り返るのか。その資料としてもこのドラマは貴重です。

短いドラマ

 「朝ドラ」に対して始まった「夜ドラ」。こちらも毎回15分。日常の中でなかなかゆっくりテレビを見る時間はありません。録画して夕食時に見るので、短いドラマはありがたい。妻の大好きな韓国ドラマなどは1時間以上あって、しかも回数が多い。とても付き合って見てられません。かといってファスト映画(ドラマ)は見たくない。あらすじを知りたいわけではないので。「夜ドラ」は作品として15分にコンパクトに収まっていながら内容が濃い。その上で途中から見ても分かるようにガイドがしっかりされています。かつて同じNHKで「銀河テレビ小説」というのがありましたが、それも15分か20分程度だったはず。当時は小学生でしたが、今の方がこうしたドラマの需要はあるのではないでしょうか。もちろん、じっくり2時間の映画を見られる余裕もほしいですが。

 

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