自分探しをしたい方へ|カードミステリー

処方

カードミステリー(ヨ―スタイン・ゴルデル)

効能・注意

・楽しく哲学が学べます。

・父子のロードムービーが楽しめます。

・トランプにはまるかも。

こんな話

 夏、北欧からギリシャへ、家を出ていった美しい母を求め息子と父は旅に出た。息子だけが手にした「魔法の本」、父だけが語ることのできる哲学と知恵、そして2人を過去の魔法に結び付けた謎の小人の冷たい手…。世界で大ヒットした「ソフィーの世界」に先だって「本当に面白い小説」として各国で話題を呼んだ小説。ノルウェー文化庁文学賞受賞作。

入れ子細工の箱

 箱の中に箱が入っていて、その箱の中にまた箱が。開けても開けても箱が出てくる。物語はそんな風に展開します。主人公の少年が手にしたのは小さな豆本とルーペ。豆本を読み進めるうちに、時代がさかのぼっていきます。一番奥にある箱は、200年前。そこまでさかのぼって、初めてどうして母が家を出ていったかという現在の謎を解くきっかけがつかめます。そして、豆本が主人公の手に渡るのも豆本の一番奥と関係があります。

 ソフィーの世界は流行した学生時代も読みましたが、その後に読んだカードミステリーの方が格段に面白い気がします。

父との会話

 豆本とともに物語の軸になるのが父との会話。父は哲学者気質。「おれが友達のことを考えていると、そこへその人から電話がかかったり、その人が訪ねてくることがある。こういう偶然を超自然の力によるものだという人が多い。だが、おれが友人のことを考えていても、電話もなければドアもたたかれないことだってある。まったく考えていないのに電話がかかってくることだってある」「要するに、両者が同時に起こったときのことだけあげて、超自然的体験という噂が広がる」「人が超自然現象にとらわれるのは、一番不思議なことが見えていないから。つまり、この世があるということがね。宇宙人だとかUFOだとかにこだわっていて、自分の足元に広がる謎に満ちた神の創造物を見ようとしない」。

 こんなセリフが随所に散りばめられています。

哲学とは

 哲学者とは知恵を求める人。物語ではソクラテスの逸話が出てきます。いろいろな人と話をして、学ぼうとしたソクラテスは、何も知らないのに、知っていると言って自慢したがる人が多いのを知って、がっかりします。ソクラテスが知ったことはただ一つ。自分が何も知らないということ。「じゃあ、あまり賢くないのか」と思ってしまいますが、何かについてよく知らない人が2人いたとしたら、知らないってという人と、知っているような顔をする人とどちらが賢いと思うでしょうか?

 「自分に分かったことだけで満足している人は哲学者とはいえない」。僕は哲学者とは違いますが、どこまでいっても満足しない。常に飢えを感じていることは仕事でも生きる上でも大事だろうなと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA