ラストサムライ(2003年、米国)
こんな話
かつての南北戦争の英雄、オールグレン大尉は戦争の無意味さに疲弊し、今はアル中暮らし。そんな彼が、近代化を目指す日本の軍隊の教官として雇われ日本へ渡り、国を挙げての近代化の波の中でサムライの生き方を貫こうとする武将、勝元に出会う。多少おかしなところはあるけれど、日本人と武士道を偏見なく描こうとした意欲作。
逆転の構図
自国では合衆国に反乱を起こしたインディアンを討伐したオールグレンが、日本では反乱士族の討伐に駆り出されます。ところが、反乱士族の捕虜となり、勝元や武士たちの凛然たる生活ぶりに感銘を受け、反乱士族側に身を投じます。かつてインディアンを虐殺したオールグレンが、自国の政府により討伐される側に味方する。単純に強い、弱いとか、勝った、負けたではない世界観をこの構図が作り出しています。
今注目される理由
今注目されている映画といえば、「ドライブ・マイ・カー」だと思います。僕も観てみたい作品なのですが、それとは別に、再び注目を集めているのが20年近く前の作品「ラストサムライ」なんです。
NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」のヒロインは、映画村に勤務する職員。そこでハリウッド映画の撮影が行われるという話が…という展開になっています。ハリウッドのサムライ映画と言えばモデルは「ラストサムライ」しかないですよね。ちなみにドラマの中のタイトルは「サムライベースボール」。これはコケるだろうというネーミングですが果たして…。
出演陣にも注目
主演はトム・クルーズ。僕らの世代はトップガンやレインマンを何度も見たし、ミッションインポッシブルのシリーズは今も人気ですよね。親日家として知られ、そんな彼のこだわりがラストサムライの随所に表れています。日本人では渡辺謙、真田広之がいい役で出てます。そして、注目したいのは寡黙なサムライ役の福本清三。最も素晴らしい「斬られ役」と評価された脇役一筋の彼の魅力が存分に発揮されています。実は朝ドラにも彼を思わせる重要な登場人物がいます。映画撮影のオーディションが始まっても「西洋の映画に興味なし」とは言っていましたが、出演するのでは…。と思いながらドラマの方も注目しています。