自転車が人気の秘密を知りたい方へ|サクリファイス

処方

サクリファイス(近藤史恵)

効能・注意

・ロードレースの魅力が分かります。

・タイトルの意味が刺さります。

・風を切って走ってみたくなります。

こんな話

 陸上選手から自転車競技に転向した白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そして、ヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。エースを勝たせるアシストしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会。青春小説とサスペンスが融合した異色の小説。

自転車は何がすごい

 ここ数年、自転車で走る人が増えましたよね。ママチャリではなくロードバイク。都会ではコロナ禍で自転車の人気がさらに高まっているとも聞きます。

 自転車は最低限の動力で、できるだけ長い距離を走るために、恐ろしく計算され尽くした完璧なマシン。自転車の中でもより速く走るためだけに、ほかの全ての要素を削ぎ落したのがロードバイクです。プロのレースでは最高速度が時速70㌔、平均時速40㌔は出るのだとか。もはや自転車の域を超えていますね。一般の人だと平均時速20~30㌔程度だそうです。

レースは過酷

 世界で一番有名なレースであるツール・ド・フランスは3週間にわたって、1日150㌔以上の距離を走り続け、その間、何度も峠を越えます。総走行距離は3千㌔を超え、高低差は富士山を9回上り下りするのに匹敵するそうです。

 レースは個人競技に見えますが、実は団体競技に近い。エースとアシストという役割分担があります。白石はアシスト。エースを勝たせるために走ります。自転車では先に走る選手の後ろに付くと空気抵抗が大きく大きく軽減され、半分以下の力で走ることができます。アシストはエースの前を走って、空気抵抗を一身に受けます。そして、エースの足を残し、勝負どころでエースが飛び出す。

 選手のタイプも平坦なコースで純粋なスピード勝負をするスプリンターと山岳を得意とするクライマー、両方のバランスがいいオールラウンダー。それぞれの個性を生かし、長いレースの中でさまざまな駆け引き、ドラマが展開されています。まあ、僕もレースそのものは見たことありませんが。これを読めばその雰囲気は十分伝わります。

クマイチ

 和歌山県にも紀伊半島南部をぐるりと1周するサイクリングコース「クマイチ」があります。海あり山ありで、途中には文化財やジオパークの奇岩が楽しめる。約240㌔ほどのコースです。また、ツール・ド・熊野というレースも開催されています。この作品を読むまであまり興味がありませんでしたが、生で観戦したくなりました。それぐらい手に汗握るストーリーが展開されます。

 自転車が人気といっても、今から始めるなんてさすがに無理と思う人も多いでしょう。でも、そうでもないらしいですよ。技術的にはそれほどハードルが高いスポーツではないというのが定説。必要なのは心肺機能と足の筋肉の持久力と瞬発力。さらには駆け引きと戦略。でも、これはスポーツ選手の場合で、趣味で楽しむ分には明日からだって始められます。

 白石は元陸上の中距離選手。僕もレベルは違えど中距離選手だったことが。案外向いているかもと、妄想しています。

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