大長編に挑戦したい方へ|グイン・サーガ③

処方

グイン・サーガ(栗本薫)

 当初100巻で完結の構想が、140巻でも完結していないこの作品。外伝も20巻以上出ています。この外伝を本編に費やしていたら、もしかしたら完結までいけたのではないか。と思いつつ、外伝には外伝の面白さがあり、捨てがたい。特にグイン以外の登場人物を主人公に据えた作品がお薦めです。

幽霊船

 ヴァラキア生まれの孤児イシュトヴァーンはたくましく、したたかな少年。賭場でのいさかいから権力者に追われ、父のように慕うカメロン船長の船に逃げ込む。船は幽霊船の謎を追って船出するところだった。純粋な頃のイシュトヴァーンの魅力が味わえる不思議で哀しいエピソード。

 カメロンは本編でも大活躍。海だけでなく陸でも有能で、闇に落ちていくイシュトヴァーンを支えますが、その関係がどうなっていくか。カメロンの大人の魅力が味わえます。

ヴァラキアの少年

 ヴァラキアの歓楽地に生まれたイシュトヴァーンは、賽をおもちゃに成長していく。16歳にしてすでに名うての博徒として知られていた彼が、ひょんなことから一人の少年の窮地を救ったことから事件が始まった。無力な少年とその家族を食いものにする悪党ども、またその影にほの見えるヴァラキアの権力者。義侠心に燃えるイシュトヴァーンの血はたぎり、単身敵のただなかに乗り込む。こちらも純粋な頃のイシュトヴァーンの颯爽の活躍を描く。

 外伝ではまずこの作品を読んでほしい。イシュトヴァーンの魅力が詰まっています。この時、助けた少年は本編でも登場し、活躍することになります。

十六歳の肖像

 グインを軸に不可思議な模様を織りなしていく運命の糸。その中でも鮮やかで妖しい輝きを放つナリス孤児の身からパロの魔導士となったヴァレリウスナリスの弟にして王家を出奔したアル・ディーン(マリウス)、そして草原の風雲児スカール。彼らの16歳の日々を描いた特別編。

 16歳の時、みなさんは何をしていましたか。僕は家と学校を往復し、部活ではひたすら走る。悩みだけは多いけど、青春も事件もない日々だった気がします。

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