マイ・ディア・ミスター~わたしのおじさん~(2018年、韓国ドラマ)
こんな話
理不尽な世の中に翻弄され、報われない日々を生きすさんでいる若い女(イ・ジアン)と、いい人だけれど無味乾燥な毎日を送る中年男ドンフン。ふとしたことから、知り合った2人だが、実はジアンはドンフンの妻と不倫関係にある社長からお金をもらうため、ドンフンを陥れようとしていた。そうと知らないドンフンは、ジアンに関わるうちに彼女が多額の借金を抱えていることや孤独な人生を歩んできたことを知り、少しずつジアンを助けるようになる。そんなドンフンの優しさに触れ、ジアンの心も揺らぎ、互いに心を癒されていく。
韓国ドラマ人気
「愛の不時着」「梨泰院クラス」「イカゲーム」など韓国ドラマが人気です。いや、人気のようです。僕はあまり見たことがないのですが、妻がすっかりはまっていて、現代もの、時代もの、恋愛もの、社会派など問わず、片っ端から観ています。
その中で、絶対見た方がいいと、勧められたのがこれ。前半は暗くて、いいところがないように見えるのですが、どこか引き込まれ、続きが気になっていく。確かに面白い。タイトルだけ見ると、おじさんに都合のいいラブストーリーみたいですが、そうではなくて、理不尽な世の中を生きる社会派ドラマで、友達や家族の温かさを描くヒューマンドラマです。先述の有名作品に比べると知名度は少し低いですが、ネット上でも「これが一番」という声もあり、世間的にも評価は高いようです。
韓国の人気作品が日本でリメイクされることもあるのですが、比べると出来栄えは歴然としているとか(妻情報)。この差はいったい…。
おじさん3兄弟
ドンフンは男ばかり三兄弟。本人は大手建設会社の部長ですが、兄は長期失業中で借金まみれ、弟は売れない映画監督。3人とも高学歴なのに人生はうまくいっていない。ドンフンは表面的にはうまくいっているのですが、母親は夢見るニートの兄より、ドンフンを心配しています。一緒にサッカーをして、飲みに行って。兄弟とそれを取り巻くまちの人たちのつながりが強い。そんな世界が描かれています。
ヤングケアラー
ドンフンの会社にやってきた派遣社員のジアンは、小学生の頃に両親を亡くし、障害のある祖母と暮らしています。今問題となっているヤングケアラーです。ドラマに出てくるぐらいなので、日本だけでなく、韓国でも問題になっているんですね。ドンフンがジアンの祖母を福祉施設に入居できるよう手伝うのですが、最初からそうしていればよかったのにジアンはそんな制度を知りませんでした。福祉が必要な人が福祉につながれない。この辺も世界共通なのかもしれません。
ドンフンがジアンに掛けた言葉。「君が気にしなければ、みんなも気にしない。君が深刻だと思えば、他人もそう思う。何事も本人次第なんだ。過ぎたことはどうってことない」。
最終話だったか、映画監督の弟が影響を受けた作品に「誰も知らない」(2004年、日本)をさりげなく挙げたのが印象に残っています。この作品にも通じるところがあったのではないでしょうか。