マンガの実写化論争に決着か/キングダム

映画

キングダム 将軍の帰還(2024年、日本)

 秦と趙の全てを懸けた<馬陽の戦い>で、敵将を討った信(山﨑賢人)と仲間たちの前に突如として現れた、その存在が隠されていた趙国の総大将・龐煖(吉川晃司)。自らを<武神>と名乗る龐煖の圧倒的な力の前に、次々と命を落としていく飛信隊の仲間たち。致命傷を負った信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。「俺たちで、信を守り抜くんだ――。」

 一方で戦局を見守っていた王騎(大沢たかお)は、趙軍の裏に潜むもう一人の化け物の存在を感じ取っていたが、劣勢を覆すべく最強の大将軍として再び戦地に舞い戻った。

王騎と龐煖の過去の因縁とは?
遠くから戦いを静観する軍師・李牧(小栗旬)の正体とは??

今、因縁が絡み合う馬陽の地で忘れられない戦いが始まる――。

映画公式サイトより
熊野堂
熊野堂

マンガの実写化には賛否両論ありますが、キングダムシリーズは一つの答えを出したのではないでしょうか。この迫力を実写で味わえる喜びを。映画としての出来は必ずしも満足ではないですが、今回は王騎の映画としてものすごい完成度です。王騎ファンは必見。

お薦め度 

ポイント

・マンガの実写化はあり?

・必見のアクション 

・中国のスケール

・今後の展開はどうなる

マンガの実写化はあり?

 マンガの実写化はありか、なしか。これまで多くの議論があり、本ブログでも触れてきました。今作を観れば「あり」と言わざるを得ない。日本でなく古代中国を舞台に、大規模な戦闘シーンがある。これだけでもかなりハードルが高いのに、一線級の役者がコスプレにならずキングダムの世界を演じています。

 キングダムシリーズも4作目で、いったんの完結編。1作目を観る時は主人公が山﨑賢人では、無理があるだろうと思っていました。すいません。めっちゃ合っています。王騎の大沢たかお李牧の小栗旬をはじめ、人気キャラクターも見事再現されていて、ストレスなく観られます。

必見のアクション

 実写化のうりは、アクションシーン、戦闘シーンでしょう。今回の見どころは王騎対龐煖の一騎打ち。どちらも巨漢の豪快な武将を演じています。大沢たかおは普段は全然そんなイメージはなかったですが、この癖の強い役がはまっていて、他の役者が演じる姿は想像できません。龐煖の吉川晃司はアクションに定評がありますが、今回の撮影のため山で修業し、体重も15㌔増量したのだとか。豪快な殺陣と縦横上下とめまぐるしく動く視点。スピード感。これを大画面で観るだけでも元が取れます。

 主人公の出番は前半で、しかも今回は完敗するシーンがメイン。前半で龐煖に全く歯が立ちませんでした。その龐煖をあと一歩まで追い詰める王騎、さらにその先を見据えた戦略で王騎を倒した李牧。武力と知略を尽くした戦いから目が離せません。別の場面で無双する騰もチェックしてください。

中国のスケール

 日本でも有名な戦いがいくつかありますが、中国はスケールが違います。秦と趙による馬陽の戦いは、秦軍8万、趙軍10万が激突しました。日本の天下分け目の決戦といわれた関ヶ原の戦いレベルの規模です。これが2国間同士のしかも総力戦でない戦いです。上杉軍と武田軍が激突して、たびたび小説やドラマの題材となる川中島の決戦は1万対1万規模です。地方の戦いからもうスケールが全然違います。これを日本で実写化できる時代になったんですね。

今後の展開

 映画は王騎の最期をもってシリーズ完結としていますが、原作は王騎死後も続きます。まだまだ登場していない人気キャラクターも多数います。新たなシリーズが始まるのか。そもそも原作もまだ完結しておらず、どこまで再現できるのか。実写は役者も年をとっていくので、いつまでも待てるという訳ではありません。そこが難しいところです。

 野党の首領から、秦の六大将軍にまで出世する桓騎はまだ登場していません。作中屈指の人気キャラで、僕も一推しですが、誰なら似合うのか。そんなことを考えて待つのも実写化の楽しみですね。

編集後記

 地元の映画館は普段は閑散としていて、ほぼ貸し切り状態なのですが、キングダムはさすがに結構入っていました。世代も男女差も超え人気が広まっているようです。映画の出来自体はギリギリ合格点くらいで、絶賛できる内容ではなかったですが、アクションシーンは日本のエンタメもここまでやるぞ、というのを見せてくれたかなと思います。新シリーズも待っています。

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