ワンダー 君は太陽(2017年、米国映画)
こんな話
全世界で800万部以上を売り上げたR・J・パラシオのベストセラー小説「ワンダー」を映画化したヒューマンドラマ。ごく普通の10歳の少年オギーは、生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっていた。幼い頃からずっと母イザベルと自宅学習をしてきた彼は、小学5年生になって初めて学校へ通うことに。はじめのうちは同級生たちからじろじろ眺められたり避けられたりするオギーだったが、オギーの行動によって同級生たちは少しずつ変わっていく。オギーだけでなく、周囲の子供たちもいきいきと描いた群像劇でもある。
偏見はどこの世界にもある
米国に住むオギー。オギーの通う学校には白人も黒人も、アジア系もさまざまな人種が一緒に学んでいます。日本の公立学校ではまず見られない光景です。そんな多様な環境で育っていても偏見は消えません。オギーの顔に子供らしい率直な感想を示し、「オギー菌がうつる」と日本でもよくありそうなことを口々にいいます。オギー自身も「もし、(スターウォーズに出てくるもじゃもじゃの)チューバッカが学校にいれば、僕もジロジロ見てしまう」とそれは認めているのですが。見た目の問題はやがてみんな慣れていきます。オギーは理科が得意で、本質的にはユーモアもあります。やがてクラスメートの接し方も変わっていく。オギーが変えていく様子はドキュメンタリーのようです。子供を持つ人に観てもらいたいし、家族で観るのにもぴったりの作品です。
太陽の周囲も光る
オギーの家族はみんなオギーを温かく見守ります。オギーは太陽。周囲は惑星です。でも物語は太陽だけが光るわけではありません。周囲の子供たちの心情も丁寧に描かれます。例えば、オギーの姉。弟をとても大事に思っているけれど、両親の目が常にオギーに注がれているのは気になっています。自分は見てもらえないと。亡くなった祖母はそんな姉の気持ちを察して接してくれていました。オギーの友人も最初は親に言われて付き合うようになるのですが、オギーの魅力に引かれていく様子が描かれます。姉の親友で、オギーの理解者である少女は家庭の事情を抱え、姉と距離を取ってしまいます。そうした脇を固める子供たちがリアルで、感動の押し売りになっていない点がいいですね。
交際はオープン
姉にはボーイフレンドができますが、家に連れてきて、いきなり両親とあいさつを交わすシーン、親が2人に気を利かせて席を外す場面など、米国ならではなのか、今どきなのか。僕が中高生の頃とは全く違います。僕の友人の女性は彼氏の家に電話して母親が出ると慌てて電話を切っていました。実質無言電話です。当時は携帯電話がなかったからこんな話はあちこちにありましたが。今どきの親は子供の交際に結構オープンですよね。僕もそんなに接することができるものかどうか…。