マイ・インターン(2015年、米映画)
こんな話
ジュールス(アン・ハサウェイ)は、仕事と家庭を両立させながら何百人もの社員を束ね、ファッションサイトを運営する会社の女性CEO。順風満帆に見えて、会社も家庭も危機を抱えている。そこにアシスタントにやって来たのは、会社の福祉事業で雇用した70歳のシニアインターンのベン(ロバート・デ・ニーロ)。人生経験豊かなベンのアドバイスが、やがて彼女も会社も変えていく。
おとぎ話ではあるけれど
会社の悪い慣習を変えるのには、別業界から新しい風を入れるのがいいはず。その決断には勇気がいるし、新しい人材次第でかなりのリスクも伴う。映画では若手ばかりのベンチャー企業に、IT音痴のベンがやってきます。元の仕事は電話帳の印刷。このベンが人生経験を生かして、周囲の信頼を得ていき、ジュールスの生き方にも影響を与えていきます。
パソコンが苦手だったのに、いつのまにかサイトの販売分析までしてしまう。ベン、ここまで仕事できたら、自分でいくつも会社を設立できるのではと思ってしまいますが、そこはコメディ映画。笑いながら明日も頑張ろうと思わせてくれる作品です。あと子役の可愛さがすごい。
仕事と家庭の両立
日本では仕事と家庭の両立が難しい。そう思っていたけれど、アメリカだって同じ。ジュールスの家庭では、バリバリの企業戦士だった夫が専業主夫に転身して園児を育てながら家事をしています。日本ならなかなかないよねと言われそうですが、ジュールスも「ママ友」からいろいろ嫌味を言われます。良き専業主夫に見えた夫も実は社会からの孤立を感じています。学校で頑張ってきたこと、仕事で頑張ってきたことが白紙になって、ただ母親(夫の場合は父親)としてしか評価されない世界を実感します。この辺は北欧なんかだともっと違うのかな。
もし転職したら
ベンは70歳で全く新しい世界に飛び込みます。ちょうど先日、同僚から「海外で働くチャンスがあれば行ってみたいか」と聞かれ、「通用する仕事があるなら行ってみたい」と答えました。文章を扱う仕事をしているので、それを多言語でとなるとなかなか難しい。でも、仕事は今の延長でなくていい。
別に海外に限りません。20代の頃と違い、50を目前にした自分に何ができるか。ベンのように新しい風を吹かせられるか。自身が新たな学びを得ることは大事ですが、いい年したおじさんを学んでもらうためだけに受け入れる職場はないでしょう。何を示せるだろうかと考えさせられました。