スプリガン(皆川亮二)
こんな話
超古代に現代を遙かに上回る科学を持つ文明が存在していた。ある遺跡から発掘された金属板には「我々の残した遺産を、悪しき者より守れ」と警告が記されていた。そのメッセージを忠実に守るため特殊組織「アーカム」は、危険な力を持った遺産(オーパーツ)をあらゆる権力から守り、封印するチームを結成した。アーカムのトップエージェントは「スプリガン」と呼ばれる。スプリガンの一人「御神苗優」の戦いを描くアクションマンガ。
超古代文明
今の科学では解き明かせない超古代文明。「ムー」的なやつですかね。読んだことはないですけど。でも、ナスカの地上絵とかアトランティス、ムー大陸とか。そうしたものには興味をひかれます。作品では富士山麓に存在したとされる「富士文明」が登場します。秦の始皇帝が派遣した徐福が目指した蓬莱山とは、富士山のことだったという説もあるそうです。
他にも有名な「ノアの箱舟」、インドの神話に登場する飲めば不死の力が得られるという「ソーマ」など。どっかで聞いたような超古代文明を独自の解釈で紹介しています。実際、聖書に記載されているノアの箱舟なんかは、学者や冒険家が本気で捜索してもいます。超古代の木造の船がもし現存していたら、まさにオーパーツですね。
個性的なキャラクター
主人公の御神苗優は、典型的な少年マンガの主人公。僕は例によって脇役の方が気になります。主人公の先輩で師匠でもある朧は、中国武術と気功の達人。軍隊を相手取っても徒手空拳で圧倒してしまう。作中、最強キャラです。主人公の相棒、ジャン・ジャックモンドは、超古代文明による遺伝子工学で生まれたライカンスロープ。身体能力が異常に高く、自分の血を見ると獣人化してさらに身体能力が高まるが、知性が低下してしまう。作中、最速のスピードを誇ります。
敵側にも魅力的なキャラが続々。中でも暁巌は、どんな過酷な状況でも生き残ることから「生還者」の異名を持つ。主人公と互角に渡り合う実力者で、敵対する陣営にいますが、困難に直面した際、たびたび共闘する関係です。ボー・ブランシェは元ネオ・ナチ。暑苦しいですが、作中で成長していく愛らしいキャラです。見た目は愛らしくありませんが。
世界配信
30年くらい前の作品ですが、最近ネットフリックスでアニメ化されました。なぜ今とも思いますが、超古代文明をめぐる冒険談なので、世界に配信するにはもってこいの題材なのかもしれません。原作を読んでいない人はアニメからでも十分楽しめるはず。原作を読んでいる人も懐かしさと、新しさを感じられます。
原作発表当時はなかったスマホやタブレット、ドローンなども普通に登場していて、現代風にアップデートされています。ただ、学校の風景(主人公はまだ高校生)やそこで話している言葉のチョイスは、ちょっと時代を感じます。そこを直してしまうと作品の雰囲気が損なわれるのでしょうね。アニメをきっかけに再び評価が高まりそうな少年マンガの名作です。