世間に相容れられないと感じている方へ|美しい彼

処方

美しい彼(凪良ゆう)

効能・注意

・BLの世界を知れます

・女性の性的衝動を感じます

・男性も美しさが求められているようです

こんな話

 「キモがられても、ウザがられても、死ぬほど君が好きだ」。無口で友達もいない、クラスの最下層にいる高校生・平良。そんな彼が一目で恋に堕ちたのは、人気者の清居。誰ともつるまず平等に冷酷で、クラスの頂点に君臨するキング。自分の気配に気づいてくれればいいと、昼食の調達に使いっ走りと忠誠を尽くす平良、傍若無人に見えて周囲をよく観察し、愛されたいという欲求を持つ清居。2人の行方はー。

初めてのBL

 BLとはボーイズラブの略語で、男性同士の同性愛を描いた小説やマンガの一ジャンル。全く興味はなかったのですが、妻がBLドラマにはまっていて、原作をプレゼントしたところ、僕も読むはめになりました。BLは作家も編集者も、読者も大半が女性だそうです。それは分かる気がします。これは、女性がそのまま発信できない性衝動を男性に反映させている。そんな印象を受けました。BLを好むファンを腐女子と呼ぶそうですが、女性には幅広く受け入れられる要素があるように思います。一方で、男性はそこまではまらないかも。BLに登場するような男性が、こうしたジャンルを読んでいるのか、どんな感想を抱くのか。一度、聞いてみたい気はします。

小説としての評価

 BL、ただそれだけの物語ではありません。この作品は世間に相容れられない人々の思いを描いています。例えば主人公の平良は吃音があり、クラスメートに笑われて、気持ち悪がられ、無口な少年時代を過ごしています。キングと称される清居にも実は孤独がある。平良サイドから進んでいた物語が、途中で清居サイドに変化するところがあります。そこが作品に奥行きを与え、単なる美少年の同性愛物語に終わらせない深さを与えている気がします。

 作者はBL以外の作品も執筆していて、代表作は「流浪の月」。吉川英治文学新人賞候補に選ばれ、本屋大賞を受賞しています。この作品は映画化もされています。僕もこの作品を読んでいたから手に取るハードルが下がった気がします。

ドラマ化

 「美しい彼」にとどまらず、BLものはドラマ界でも人気です。「きのう何食べた?」「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は、実は僕も観ていました。その前段階で「腐女子、うっかりゲイに告る」を観ていたのが大きかったです。BL好きの女子高生が好きになったのが、ゲイだったという話ですが、心情がすごく丁寧に描かれていて、興味本位の同性愛ものとは全く違う。認めている。でも、世間では受け入れられるのが難しい。そうした時代感がよく表現されていました。

 妻は配信ドラマ版「美しい彼」を何回も繰り返し視聴しています。今度、映画化されるそうですが、一緒に観に行こうと言い出さないか心配です(笑)。でも、ドラマも深夜帯の放送だったようですが、よく出来ていています。主題歌も世界観そのままで、これも妻がユーチューブでエンドレスリピートしています…。

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