政治と選挙のニュースが面白いほどわかる本(池上彰)
こんな内容
派閥、政治資金、内閣、1票の格差、憲法9条…。政治、そして選挙のニュースに出てくるキーワードを知らないと世にあふれる情報を正しく理解することはできません。政治の報道を読み解くポイントを、図版を使いながらまとめた「池上解説」。参院選の前に読んでおきたい1冊。
三バン持ってますか
国会議員になるには「三バン」が必要だといわれています。たまに聞く言葉ですが、何のことか分かりますか?「地盤」「看板」「カバン」ですね。地盤は選挙区で応援してくれる人。後援会とか高校の同級生とかどれだけの人が応援してくれるかという部分です。看板は候補者の知名度。地元で名前が通っている方が当然有利です。テレビに出ている有名人が当選しやすいのは「看板」の力が大きいですね。最後のカバンは政界の隠語で資金のこと。政治にはお金がかかるので、それがないと選挙に勝てないというのです。
これらを最初から持っている人がいます。世襲議員です。有名なのは小泉進次郎氏ですね。父親の純一郎氏は首相を務めていました。実は純一郎氏の父も祖父も国会議員でした。安倍晋三氏も麻生太郎氏も3代続いて政治家の家系です。
現状のままでは国会議員になれる人が限られます。政治を変えるには誰でも気軽に立候補できて、落選したら以前の生活に戻れる。そんな仕組みをつくることが重要ですね。
当選確実
選挙の投票が終わったばかり、まだ開票作業も始まっていないうちから「当選確実」の報道が出ることがあります。和歌山県では特によくあります。これは選挙管理委員会が出しているわけではありません。テレビ局などのマスコミが、自社の責任で出しているのです。世論調査を行い、各地の投票所で投票した人に誰に入れたかを聞く出口調査もしています。こうした取材活動でかなり正確に結果は割り出せます。
もっとも、もうすぐちゃんと結果は出るのだからそこまで速報にこだわらなくていいとは思いますけどね。電子投票ができるようになれば、結果は一瞬で出るので、それが一番ありがたいです。
一票の格差
今、一票の格差が話題になっていますよね。A選挙区では1万人の有権者に対し、1人の当選者が出るのに、B選挙区では5万人に対して1人だとします。するとA選挙区の一票はB選挙区の5倍の重みがあるという訳です。たしかに、そういう面もありますが、違う見方もできるのではないでしょうか。A選挙区の有権者がB選挙区の候補を選ぶことはできません。同じ選挙区内では格差はありません。地区代表を選ぶのが目的であるなら、問題はないように思います。単純に一票の格差をなくすなら全国区で選挙すればいい話ですし。でも、都会目線では「田舎はひいきされてる」と思うでしょうね。田舎には保守系の議員が多いので、既得権を主張して格差是正に後ろ向きという一面は否定できませんが。