バルサユース相手に前半を同点で折り返したエスペリオン。
勝負の後半、エスペリオンは大友を投入し勝ち越そうともくろむが、
一方 バルサはエース・デミアンを投入。
その実力を如何なく発揮し、追加点を奪われてしまう。その規格外のパフォーマンスに心が折れかかるエスペリオンだが、
日本の至宝・栗林と、その栗林が天才と呼ぶ大友が中心となって対抗して!?予測不能のゲキアツ展開が目白押し!!
かつてない激戦の行方は果たして―――!?(小学館公式ホームページより)
かつてない苦しい、厳しい展開が続くバルサ戦ですが、帯にあるようにページをめくるたび、どんな啓発本より奮い立つ。という言葉がぴったり。クライマックスに向け、ぐっとための1巻。次巻が楽しみ過ぎる。
お薦め度
圧倒的な強者と戦えますか?
圧倒的な強者と戦うことはありますか?主人公アシトたちのチームは日本では強者。戦う相手は強豪でも同格。王者としての戦いを求められます。ところが、バルサはかつてない圧倒的な強者。初めて格下としての戦いを強いられます。
みなさんは、圧倒的な強者と戦うことはありますか?スポーツでもない限り、少なくともビジネスではそんなシチュエーションは避けますよね。でも、報道の仕事はたぶん、そんな状況でも戦わないといけない。それどころが、報道が(悪い)強者として、さまざまな攻撃を受ける。なんか複雑な立場です。
僕自身はいつも弱者で、相手はいつも強者。でも圧倒的な強者と対峙できるところまで、まだ到達できてない。10代でこんな体験ができる主人公たちがうらやましい。純粋にそう思います。新年はもっと圧倒的な敵に挑みたい。
筋肉に負けない
みんな心が折れそうになる中、踏ん張るのが途中出場の大友。前の巻でも見せ場があった大友ですが、今回は花形のポジション、トップ下に移り、奮闘します。周囲を囲むのは屈強な肉体で相手を蹴散らすバルサのDF。それを技術でいなし、チャンスをつくる。「筋肉が蹂躙するサッカー嫌い」。これは同じ体が小さい中で戦ってきた僕は、共感しかない。筋肉バカがでかい顔をするサッカーなんか面白くない。体が小さくても、戦えるのがサッカーのはず。小さい体で、特殊な能力もあるわけではないけれど、培ってきた技術と工夫で戦う大友は、僕の理想像ですね。
僕も体は小さいし、病気がちで、みんなと同じスタートラインに立つことさえ許されなかった。バカにされているのは分かっているけれど、気づかないふりをして、でも「見とけよ」と反骨精神は失わず、戦い続けてきました。今は「ざまあみろ」と言えるところまでこれたかな。
背景の物語
圧倒的強者も生まれながらに王者だったわけではありません。作中、最強の敵といえるデミアンも、幼少時代は貧民街で虐待を受けながら育った子供でした。このまちから出られない。絶望の中で、サッカーで遊んでいる時だけが少し違う世界にいられる。サッカーがとことん好きだったわけでもない。でも、脱出するにはサッカーしかなかった。他の選手もさまざまな理由でサッカーしか生きるすべがない。その中で生き残ったものだけが強者になれているのです。
東京でも阿久津は厳しい生活環境から這い上がってきた選手。最後のコマではアシトとともに反撃ののろしをあげてくれそうな雰囲気です。
覚醒への期待
主人公のチームにとって苦しい時間帯が長く続きましたが、いよいよ主人公に覚醒の時が来たようです。「普通にやって勝てるはずがない」。一見、心が折れてしまったのかと思うような描写がありましたが、逆だったようです。圧倒的な強さを前に、何かを吹っ切れた。いったいどんな戦いを見せてくれるのか。久々に少年マンガらしい展開に期待大です。
劣勢の中で、奮闘しているのは大友、栗林、遊馬。この辺もぜひ絡んできてほしいです。
編集後記
40巻で終了、が発表されました。残り2巻。寂しすぎる。でも、バルサ以上の敵はきっといないし、アシトの成長の旅の最期を飾るのに最高の舞台ですよね。新刊を買い続ける数少ない作品。最後まで楽しみたいと思います。次巻は4月の発売予定。もっと早くしてくれ。