特別捜査部Q(2025年、ネットフリックス)
強引で無骨だが凄腕の警官が新設部署のトップに就任。寄せ集めとも言うべきはみ出し者たちを従えて、エディンバラ中の未解決事件の謎を解き明かしていく。(ネットフリックス公式ホームページより)

古典的なドラマ風でいて、新しさがある。ミステリー好きが喜ぶ要素が盛りだくさん。謎が謎を呼び、登場キャラがみんな立っている。次が気になって仕方ない。一気見必至の佳作。ネットフリックスに加入しているなら、見ないと損なレベルです。
お薦め度
謎が謎を呼ぶ展開
九死に一生を得て職場復帰したカール・マーク主任警部は、新設部署のトップを任されることにちに、なります。それは未解決事件を専門にするというもの。格好良さそうですが、警察のイメージアップを図りたい上層部と、予算を回してほしい現場の取引により生まれた部署。扱いは散々です。でも、未解決事件というキーワードだけで、ミステリー好きは引き付けられますよね。
失踪した検事補の謎を追ううちに、この検事補が取り扱った過去の事件、出身の島で過去に起きた事件、検察内部の闇が絡み合っていきます。さらに、カール自身が巻き込まれた事件の真相はどうだったのか。検事補は生きているのか。カールが撃たれた事件の背後には何があるのか。謎が謎を呼ぶ展開(ミスリードも多いですが)は、目が離せません。
バディもの
暗い感じのミステリーですが、ところどころにユーモアがあるのが新鮮です。バディものとしても秀逸。カールとコンビを組むのは、謎の助手アクラム。シリアの難民で、シリアでは警察のような仕事をしていたとか。無愛想ですが推理力、体術にも優れ、謎を解く側なのにとにかく謎が多い。警察に雇ってくれと直談判し、臨時職員で捜査を手伝う(というか捜査しちゃっている)。作中で、お気に入りのキャラです。
新設部署にはさらにPTSDなどさまざまな症状を抱えているローズ(彼女も何気に活躍する)、カールとともに巻き込まれた事件で下半身まひ状態のハーディが加わります。この2人がバディを組んだり、アクラムとローズがバディを組んだり、もともとのバディだったカールとハーディのコンビも健在。いろいろな組み合わせで事件に迫っていくのが痛快です。バディ間の会話がとにかく面白い。そして、実はとてつもなく有能。こうしたメンバーがあまりに陽の当たるところにいないのもリアリティあるのかも。
権力の闇
シリアスなパートでは権力の闇が描かれます。特に検事の世界。事件はどうやってもみ消されたり、捻じ曲げられたりするのか。でも、そこには人の情があったりもする。検事補の失踪にはどの事件が関わっているのか。闇の一端に触れたことが原因なのか。カールが巻き込まれた事件も権力の闇が関係しているのか。ネタバレになるので、真相は書きませんが、とにかく引き付けるのがうまくて、次が気になってしょうがない展開が待っています。
シリーズ化熱望
ドラマは1話完結式と思っていたら、一つのシリーズ(9話)で一つの事件を解決するスタイルでした。原作小説があるようで、他にもエピソードが残っているよう。ドラマより先に映画化されていて、こちらはシリーズ化してヒットしているようです。ドラマもシリーズ化を熱望します。でも、正月休みとかGWとかじゃないとなかなか観られないかな。
編集後記
シリアスとユーモアのバランスが非常にいい。ストーリー展開のテンポもいい。こういう大人向きのドラマが日本では少ないです。中高生向きのキラキラか、荒唐無稽系のドラマが目立つのは視聴率対策でしょうか。ネットフリックスのドラマは質の高いものが多い。もちろん、日本のテレビドラマにも毎年、秀逸な作品が生まれていて、競争、共存していい作品が増えることを楽しみにしています・