グッドナイト・ムーン(1998年、米国)
こんな話
イザベルはニューヨークで活躍する売れっ子のファッション写真家。弁護士のルークと恋に落ち、同居を始める彼女だが、彼には別れた妻になつく二人の子供、12歳のアンナと7歳のベンがいた。何とか子供たちに気に入られようと頑張るイザベルだが、失敗の連続。しかも、前妻のジャッキーは家庭的で完璧に見える母親。だが、ジャッキーはガンで残りの命は限られていた。
喪失はあるけれど
米国の青少年の生活上のストレスを重い順に挙げると、①両親の死、②兄弟姉妹の死、③親友の死、④親の離婚となるらしいです。映画では④の親の離婚を経験した12歳の姉と7歳の弟がさらに、実母の死に向かいあうことになります。
喪失や死を題材にしていますが、コメディタッチで重苦しくはありません。新参者のイザベルも含め、家族全員が痛みや苦しみ、喜びを分かち合い、成長していく、希望を感じさせるストーリーになっています。
義母VS実母
二人の女優が姉妹や親友でなく、前妻と後妻の役を演じるのは、珍しいかもしれません。最初は衝突する二人ですが、自分の命が残り少ないと知ったジャッキーは、子供たちにイザベルの良いところに目を向けるよう諭します。そして、ジャッキー自身もイザベルを受け入れ始めます。「子供たちの過去は私のものだけれど、未来はあなたのもの」と子供たちをイザベルに託すシーンが印象的です。ルークはそれほど目立ちません。そういえば、父の日も母の日に比べて、存在感が薄いような。来月ですよ。
今どきの家族
原題は「STEPMOM」(義母)。邦題がなぜ「グッドナイト・ムーン」になったのかは謎です。確かにステップママや義母では、インパクトは薄いかもしれませんが。
スウェーデンの教科書で家族について触れている個所があります。「離婚すると、子供たちの多くは新しい家族で暮らします。その場合にもお父さんやお母さんがいますし、新しい兄弟姉妹ができるかもしれません。また、多くの子供がお父さんと、お母さんと交代で暮らしています」。イラストも親が離婚して、家族が増えましたという風に表現されていて、ネガティブな印象を受けません。
日本でも離婚は増えていますが、まだ映画のようにも、スウェーデンのようにもいっていない気がします。スウェーデンの教科書には「二人のお母さん、二人のお父さんがいる家庭で暮らしている子供がいます」と同性婚にも触れています。離婚、再婚、同性婚への寛容さも日本とはずいぶん違いますね。