時代劇のリアリティーが気になる方へ|古代中国の24時間

処方

古代中国の24時間(柿沼陽平)

効能・注意

・英雄でなく日常から歴史を楽しめます。

・三国志やキングダムの見方が変わるかも。

・基本は今も昔も洋の東西も変わらないかも。

こんな内容

 始皇帝(キングダムの時代)、項羽と劉邦、曹操ら英雄が活躍した古代中国。二千年前の人々はどんな日常生活を送っていたのか。気鋭の中国史家が文献資料と出土資料をフル活用し、服装・食卓・住居から性愛、育児まで、古代中国の24時間を再現。口臭にうるさく、女性たちはイケメンに熱狂…。古代人の姿を知れば、歴史がもっと愉しくなる新しい歴史書。

主食はコメじゃない

 主食はアワが多く、少し上等なものとしてキビがあり、オオムギも食べられていました。イネ、アワ、キビ、オオムギは煮てから蒸し、粒のまま食べていました。煮汁とともにビタミンやたんぱく質を流し捨てるので、あまり栄養豊富ではなかったとか。アワは餅や麺などにしても食べていたようです。

 実は僕も食物アレルギーと診断され(今思えば、それ誤診ですと言いたいところですが)、コメを禁じられたことがありました。代わりに食べたのがアワやヒエですが、あまりおいしくありませんでした。まあ、食べ方に工夫すればもっと違ったかのかな。

 ただ、上流階級はいいものを食べていたようです。肉は牛、羊、豚、馬、鶏、キジ、白鳥など。特に子牛、子羊、幼鳥などの柔らかい肉が好まれ、春には繁殖期のガチョウ、秋には若鶏を、冬には温室栽培のアオイやニラを食べるなど、現代のグルメと変わらない生活だったかもしれません。

古代人も歯が命

 古代の中国では顔を洗い、手は洗っていましたが、歯磨きはしていなかったようです。同じ時代のインドでは朝から木切れを繰り返し噛み、それを歯ブラシ代わりにしていたようですが、こういったこともなかったとか。

 日常生活でもっとも恐れたのは虫歯かもしれません。芸能人でなくても歯は命。ひとたび、虫歯になれば治ることはなく、徐々に歯を侵食していきます。当時は歯を削る技術もなく、麻酔薬もなかったでしょうから、どんどん悪化したでしょうね。

 ただ、ミイラの歯を調べると虫歯の数は現代の日本と比べて多いことは多いけれど、桁違いに多いわけでもなかったとか。食べ物の違いが虫歯を抑制していたとみられています。

24時間

 古代中国の食事は1日2回。午前8時ごろに朝食を済ませ、9時ごろに勤務先に出かける。昼間に市場で買い物をしたり、昼寝の時間があったり。夕方の早い時間から飲み始めたり。午後7時ごろに寝る準備を始めたり。現代日本と似ているところも少なくありません。

 ちなみに、僕の1日は午前5時半ごろ起床、軽く体を動かして、洗濯など家事をしながら朝食。BSで朝ドラを見て8時前に出社、すぐ取材に出て、会社に戻るのは午後6~7時ごろ。昼は仕事しながら弁当をかきこんでいます。午後8時すぎに退社なので、ほぼ12時間労働。夕食は9時ごろ。寝るのは11時半~12時ごろ。豊かさのかけらもありません…。

 

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