ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本(向山淳子・向山貴彦)
こんな内容
英語の仕組みを簡単に解説しています。ただし、従来の学校教育の英文法とは少々異なります。英語を学ぶには「読む」しかない。学ぶのは「基本の基本のルール」だけ。最初の英語の本を選び、読み始めるまでを応援するという位置づけです。
紹介されている英語の基本形はA→B。AとBの二つの箱があって、「AがBに何かをする」という形。英文の70~80%はこの形です。どんな長い文も、複雑な文もこの形の変形にすぎないとのこと。Aは主役でBは脇役。矢印は必ず右向き。この基本から英語を読んでいきます。
なぜ英語が話せないのか
どんな言語であれ「易しい」といえるほど、たやすく習得できるものはきっと存在しません。でも、数ある言語の中で英語はもっとも簡単な言語なのは本当です。難しい言語だったらここまで世界に広がるはずはありません。一方、日本語は文法や単語はもちろん、ひらがな、カタカナ、漢字も覚えなければいけません。日本語を使える人は、必ず英語もできるようになるはずとエールを送っています。
英語はとにかく、まず読むことです。読むだけではヒアリングできないと思いがちですが、聞き取れないのは発音のせいではなく、相手の言っている文を見たことがないから。思い返すと中学、高校、大学でも1冊の英語の本も読んでいません。英語の文法を規則書だけで覚えるのは、ルールブックだけみて野球が上手くなるのと同じように難しい。というのがこの本の考えです。
カムカム英語
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」はラジオの英語講座がタイトルにかかっているように、英語が一つのテーマになっています。3人の目のヒロインの友人が小学校時代に英語をぺらぺらと話すシーンがあり、「英語塾に通っているから」というのですが、その塾すごいなぁと思って見ていました。
でも、英語が得意な人でなくても、他の言語に比べればある程度の知識はすでに持っているはずです。韓国語やスペイン語とかだと全く分からないですよね。英語圏ではないトルコとスペインを訪れた際、スーパーだとレジがあるのでそんなに困らなかったのですが、露店での買い物は値札もなくて値段が分からないんですよね。oneとかtwoで数えないので話している言葉も分からない。電卓をたたいて数字を見せてもらってようやく新聞(もちろん読めませんが記念に)が買えました。英語圏だったらもっとスムーズにいったはずです。
画期的な近道はない
英語が話せるようになりたいという人はいつの時代も一定数いるようで、「聞くだけで話せるようになる」といった教材がよく宣伝されています。英会話教室もいろいろあります。しかし「世界一簡単」をうたう本書の作者は、言語を学ぶのに「劇的な解決法も、画期的な近道もありません」と断言しています。結局、地道な方法が一番の近道とも。
言語を学ぶ魔法はないけれど、言語自体は魔法です。時間も距離を超え、人と人をつなぐ人類最大の発明品です。魔法、使ってみたいですね。
僕もこれを読んで英語への抵抗感はかなりなくなりました。次のステップに児童向けの英語本でも読んでみようかな。初級ではセサミストリートブックス、上級者向けにハリーポッターやナルニア国物語などを推薦しています。