なぜかお金が貯まらない方へ|三千円の使いかた

 処 方

三千円の使いかた(原田ひ香)

効能・注意

・身近な題材からお金の貯め方、増やし方が学べます。

・不安が自分だけのものでないと気づけます。

・ハウツー本ではないので即効性は期待しないでください。

こんな話

 あなただったら、手にした3千円を何に使いますか?就職して一人暮らしを始めた美帆(貯金30万円)、元証券会社勤務で消防士と結婚した姉の真帆(貯金600万円)、習い事に熱心な母・智子(貯金100万円弱)、1千万円を貯めている祖母・琴子。それぞれが人生の節目とピンチを乗り切るため、お金をどう貯めて、どう使うのか?―という物語。主人公の異なる6話の短編がゆるやかにつながっています。

「あるある感」満載

 学校でお金について学ぶことってほとんどないですよね。算数で計算の仕方は学ぶし、社会ではインフレとかデフレなんて言葉は出てくるかもしれないけれど、お金の使い方、税金の仕組み、お金の流れとかに触れることはほとんどなかったように思います。

 作品は貧乏から金持ちへのサクセスストーリーも、一攫千金を狙うスリルもありません。代わりにお金にまつわる「あるある感」が満載されています。就職や結婚、子育てなどそういえばあの時そうだったなという「あるある」、「73歳のハローワーク」「熟年離婚の経済学」などタイトルも多くの人に将来起こりそうな「あるある」です。各話の主人公それぞれが世代も立場も、年収も違うので、自分に近い「あるある」に出合えるはずです。

 

8×12

 ハウツー本ではありませんが、随所にお金の使い方を考えさせるエピソードや方法論が登場します。例えば、固定費を見直して月8万円貯金、ボーナス月は2万円プラス。これを30歳から60歳まで続ければ3千万円貯まります。もし3%複利で運用すれば税抜き4900万円。あなたにも実践できそうなエピソードがきっと見つかります。

節約・固定費見直しの効果

 僕は40代半ばで、お金について学び始めました。それまで無頓着だったので、改善すべき点だらけ。小説も共感するところが多かったです。まず、手を付けたのが節約、固定費の見直し。結構な金額を投入していた保険を見直し、基本的にすべて解約しました。掛け捨てでない保険もあったので、いわゆる損切もあったのですが、そもそも途中解約で損する保険に入っていたのが選択ミスでした。そして、携帯料金の見直し。これはauからUQモバイルへの変更で月額5千円ほど節約できました。生活を切り詰めているわけではありません。むしろ、少ない金額でより豊かなになる感覚です。こうして確保した資金を投資に充てています。すると、いろんな経済トピックスが目に入るようになりました。世の中が違って視点で見られて面白いです。株価は、昨年は順調に増えましたが、今年は早々に乱高下してます。最初から長期投資前提なので目先の利益は気にせず、ぼちぼち楽しみます…。

本の中でも書かれていますが、お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的にならないよう注意しましょう。 

 

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